語り口

映画の感想はまたあとで

(すごくよかったのよ!)

 

語り口

それはなんだろうか

 

オレが最初に「語り口」というワードを

見たのは加藤典洋敗戦後論」に収録の

「語り口の問題」である

たしか

オレが若いころに読んだ

そして中身をだいぶ忘れた

でもだいぶ影響を受けたと思うんだよ

記憶では

それはつまり何かを「語る」(ことばで)ときには

それが

内容として何をさししめしているのか

だけではなくて

それを「どのように」語っているかの語り口が

人に届いたときに

読み手もまた内容(意味内容)とその語り口(外見というか・・・・)の

両方をみている読んでいる

そういう話だと思うんだけどな

 

 

たとえば

小説でヘタクソなのは「登場人物の言葉や行動が嘘くさい」と

読者は思うのだが

嘘くさいとはなんだろうか

つくりものめいているという

ことだろうか

 

不気味の壁というものがあり

よくできたアンドロイドはよくできているゆえにそこが

気持ちわるい

ごくわずかの「真の人間」の様子とは違うその違いが

似ていればこそ逆にきわだって見えてしまう

 

オレが自分の感覚でそれを言うと

たとえば世界のつくられかたが

いびつだ

と思うとそれは「つくりものだけど 悪い意味でつくりものだ」と

思ってしまう

それこそオレが毎度悪口ばかりいうあの

細田守「竜とそばかすの姫」である

あそこでの仮想空間のウソくささといったら・・・

 

 なんだろう

そこにいる人はフィクションの登場人物なのだから

「つくりもののおはなし」であることは

元よりご存知なのである

 

それでも

よくできたお話は人をしてそこにぐいと引っ張りこんで

この人生のストーリーは本当にあったことなんだ

とまで

思わせてしまう力がある

あるんだよ

 

それこそエターナルズだってこいつら人間じゃないんだと

わかっていても人間らしさを感じてしまう

 

もとの話に戻すと

聞き書きで生活史を書く方法が

「きいたことをありのままそのまま書く」

ただし

「言葉の方言語尾を強調しすぎない」とか

「まとめようとしない」とか

「話に矛盾や間違いがあってもそのままにしておく」など

が必要とされている

 

つまりそれは調査ではなくて「聞き書き」なのである

 

生活を語ることは

ありそうで

なかなかない

ただ語る

嘘ではなくその人にとって本当のことを語る

その人にとってというのが重要なことで

みえていたこときこえていたことを

記憶の中でこうなっていることを

そのままに

記憶の様相のままに語る

のである

 

10000字

 

400字25枚である

 

なかなかそんなことを茶々も入れず批判もせず

ただ聞いてくれるインタビュアーなんて実人生では

なかなかいない

ってこと