男主人公佐藤の1人称で語られるまんが。ときどき、3人称で山王さんの内面も語られるが。山王さんの1人称というものは稀である。思い出すのは「B−Virgin(山田玲司)」である。ずっと男主人公の内面がとにかくしつこく語られて、それは私小説的なものかと思いきや「主人公の心の内面会議」などあったのである。積極派とかオタク派とか中立派とかどうでもいいや派とかいろんな主人公の分身がいて会議とかしているのである。その、会議が、さんざん話も進んだ後になってはじめてヒロイン(ユイちゃんでしたね)の側でも行われたのである。ヒロインの心の内面にもいろんな面があって積極派とかいじいじ派とかギャル派とか。記憶で書いてるから間違ってるかもしれんが。とにかく、そのとき、ああまんがって自由でいいなあと思ったんである。  「少年」ではヒロインの側の内面は意識的に語られないがそれは佐藤くんの側にどっぷり感情移入する助けになっている。ヒロイン山王さんの立場に立ってみる人は相当器用なうまい人であろう。俺にはできねえ。だって理想の彼女だから。同一化とか全然したくない。