しかしうまうま言っているだけでは芸がない。何が、私をしてそこまで唸らせたのかについて。パリである。そして郊外である。これはパリの郊外について描いた本であり、文学について書かれた本であり、その文学はパリ郊外と密接に関係しており、そこにあらわれる人々はだいたい郊外で何か普通のこと、仕事したり飲んだり食べたり散歩したりバスに乗ったりしている。描かれる風景はカフェであり公園であり運河であり、それからこの晩秋のパリ移民暴動でも有名になった団地群である。http://www.labornetjp.org/news/2005/20051123m3
いかん話がずれてしまった。ともあれ。郊外にあるものは大体の場合は希望に満ちた明るいようなものではなく、とほほだったり雨にふられたり歩きつかれたりである。だいたいパリ自体がオトナの街であり疲れたヨーロッパである。だいたい日本人でパリに行ってウツになる奴の多いことといったら。華やかなんてイメージをつくったのはどこのどいつだ。いかん、とうとう話を戻ってこれない。