『ORGA(NI)SM』読了

阿部和重神町サーガの第三作である

ああ楽しい

1作目『シンセミア』のくだらないかんじ下世話なかんじ

性的な猥雑な感じアホの感じやくだらない怒りや暴力の感じが

いまでもわすれらんないけど

この作品もまた面白さの核が現在のなにかとも

リンクしているかんじがする

 


よかった点

・主人公の妻がひとことも話す場面が登場しない

・主人公とその息子は死なない

(ネタバレ)

いいんだよもう

・なんとなく悪の全体像はわかりそうでわからない

(そのほうがいい)

・そもそも悪なのか?

主人公からみて「敵サイド」というだけで

悪かどうかはさっぱりわからんというところが

この小説のいいところなんじゃないかと

思う

 


あとバラク・オバマもたぶんあやつられているんじゃないか

と確定させないままにおわせるところね

誰もなにも確定できない世界なのである

マンガ的でもあるしマンガ的ではない小説ならではの不気味さ

ともいえる

(なにしろ絵がないゆえにどのようにミューズが周囲を

幻惑しているのかはこっち(読者)の脳内映像なのだから)

 


あとアロマ企画的なものもある(知ってる人はわかる)

 


とにかく面白い長編小説はいい

 


『テクリネゾン』が「上品なセックス」とすれば

こっちはまったくもって下品でしかもラリーの情欲とかマジ下品だよね

それこそが魅力

下品なものが上品であるものと同じくらい面白いのである

楽しい