あさ2

「小さな旅」。尾道市向島
帆布をつくったりそれで和船に帆をはったり長くつかったり(長くつかうほど綿が目が詰まってきて風をよく受けるそうだ)、また、和船の櫓を木(樫)を削ってつくったり10年つかったのをまた削りなおしたり、瀬戸内側と内海側でその形を変えてみたり、
 新しい若者が移住してきて帆布をつくる工程に参加したり、
 帆布という産業にしても大規模ではなく小さい需要にこたえるだけだけどそれを続けてみたり、 
 和船での漁業にしても糸を手でたぐる手釣りで、はたしてそんなんでいったい金銭として食うにたる分が得られているのか、
 疑問でしょうがないが、海の恵みが豊かであればそれで食っていけるのかもしれない(なにしろ櫓で漕いで進むのであれば動力は人力である。ガソリンもいらない)。
 
 いったい近代的な鉱業工業産業サービス業が増えに増えたが、それでみな食っているがあっぷあっぷであり、たがいに憎しみあう都市と中間田舎であるが、 
 農業漁業という一次産業がじつは「あるテクニックに特化したスキル」であり誰もそれにかえられないのであれば、結局さいごに勝つのはそういうものである、みたいな。
 
 なにしろ賃労働者はとっかえのきく存在ですからね。
 
 ITの発達は「自分の個性は自分で考えろ」という厳しい社会であると松井さんがいっていた。松井さん誰だ。そもそもが個性なんてものは基本ができていてその上にたつものであるから、基本もできてないのに好き勝手にこれがよさそうだからこれがオレの個性とかいってもぜんぜん役にたたない。
 だったらなにも考えずに手を動かしていたら足を動かしていたらスキルが身についてよくやっていけるようになった(他人から必要とされるようになった)方がよほどいい。
 
 小さな旅は番組としてセンチメンタルすぎるきらいもあるが映像が美しいとオレが感じてしまうのだからしょうがない。オレはいつもだいたい真面目に見たり傍らで見てたりしている。