よる2

話は変わるが。
 
一回性について。この世で我々人間が体験できるすべてのことはすべて一回しか起こらないことだ。
 同じことが起こるとしても、それは、時間空間として別の時間空間で起きていることなので、一回ごとにオリジナルなのである。
 
 そのことを思うと、どんなことでも、たった一回の夕焼けでも、一回性をもつものとして楽しめるのである。
 しかしそんなことをいちいち毎回すべてのことに適用していたら、感動の量は擦り切れて、なにもたのしめなくなってしまう。
 感動は日常の生活の仕事の場面でつかわなくてもいいのである。休みでオフでハレであるときに使えばいいのである。切り替えである。
 
 そういうわけでやっぱ旅だなあと思っている。どこに行っても旅である。
 
 オレはぜんぜん「仕事を頑張って仕事をつきつめてそこで一流になって大きく金を儲けてさらに他人から感謝されたい」という方向への努力ということに、興味が向かわないのである。つくづく、そのあたりは、本音で、どうしようもないと思っている。もちろん仕事は重要なことであって大事であって他人のことに関わる仕事でもあるしつきつめていくべきだと理論的にはわかっているが、倫理的に考えたときに、オレが仕事をつきつめていくことは所詮オレの自己満足だということがあたまにうかぶのである。
 オレが楽しいのならばそれには他人を巻き込むべきではない。
 ので一人で旅に出るわけである。