恋と軍艦5巻 感想。

  ネタバレを含むのでみたくない人は見ないでくだされ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 さて。
 
 なんちうかね。西先生の最近のラッシュというか重量戦線というか、
作品がどんどん出てくるのだが、まあオレにしても全部が大好きかというとそうでもなくて、これ前にも同じこと言ったか、言ったかもしれないが、まあ。
 さてこの作品「恋と軍艦」は初めから町長さんへの恋が成就するわけないじゃんと主人公以外の全部の人間が知っている話である。おもしろい。主人公だけが真剣だ。
 遠藤さん(主人公)は有難いことに母が海外出張で父はでてこない。おばあちゃんの家に預けられている。ということは母が給金をおばあちゃんのところに送金しているのか。
 5巻になっていよいよ町の存続とそれへの対策という話になってくる。
 
 まあ同時に篠原さん(主人公の友達)も漫画の道をめざしてくじけてまた目指しているのだが、このあたりは地方において漫画の道を夢みる読者たちの分身ともいえるかもしれない。なかよしはいよいよ突き進んでおり巻末にのってる「24日で夢がかなう☆最強まんが描き方box」なんて出しちゃうのである。漫画を描くのが夢!クリエイション!
 
 篠原さんがいりびたっている漫画家(プロ)の家。そこに住む入市アレクサンドル。ロシアン・ハーフ。プロであり人気も高いが今巻ではピンチになっている。いるけど淡々としている。
 
 その家にかつて入市と同居していたものの今は別居となっているのがこの小さい町の町長。港。41歳である。
 オレより年下じゃねーか。すみません。 
 
 いよいよ変な少女漫画である。まあいいのだ。なかよしで連載はってるんだからすげえのである。
 でもたぶん中心に在りうるのは遠藤さんの成長のことなのである。 
 
 遠藤さんがただの気弱な女子だったのがいろいろあって行動派になっており5巻では「町がお金がないならわれわれ中学生がお金をつくればいいのではないか」と考える。そしてまわりの人間をまきこんで地元食材のおいしい調理などによりその直販で資金を得てしまう。おまけにテレビに「町おこし美少女」とかいって出て話題になってしまう。
 
 まあそれで町長が取引をしかけてくるのだが。
 
 そのあたりにはオレはあまり興味がなく。
 おもうことはどうして町おこしの直販がそんなにうまくいってしまったのか>?
 ということだ。
 「娚の一生」においての地熱発電、「姉の結婚」においての軍艦島観光開発(軍艦島じゃないけどモデルにしてるでしょ)、などなど。九州においての地域ならではの開発事業そして地元で生きていける環境づくり、がいろいろ出てきて今度は町おこしである。
 
 おりしも昨日この漫画といっしょに「考える人」を買ったのだが「はたらく」という特集に高知県馬路村が出ている。もうすっかり有名になった馬路村である。柚子である。どんどんうれる柚子関連商品。馬路村ブランド。オレがクロネコであー重いなあと思いながらコンベアに載せていたやつである。
 
 ああいう成功例がある一方で、地方の策がぜんぶ成功しているわけではない。しかし漫画の中では成功している。とりあえず成功しているのである。いや多分いろいろはしょっている。段ボール代とか初期運転資金とかどっから出てきたんだというのもある。でもそれはどうでもいい。
 
 たぶんテーマは「地元の人が当たり前と思っていたものが実はいいものだった」ということだ。
 
 また「考える人」に戻るが、この「はたらく」特集には会社員じゃない人で働く人のいろんな働きが出ているのだが、尾道で空き家再生をやってる人の声が印象的だった、空き家だらけになってどんどん人が出ていく地方都市が壊滅するのは、必然、だからなにか、なにかしないとそれを食い止めることはできないし呼び込むこともできない。
 
 何かをするのだ。それが成功の秘訣ではないのか。おもいがあって行動があって他人をまきこんでいる。それを描いたのがこの恋と軍艦の5巻だと思う。
 それから見ると町長の「海外資本をよびこんでリゾートをつくる」というのはぜんぜん他人を巻き込んでないなあ。米軍基地を呼んで雇用確保するのと何が違うのか。
 
 とはいえ現実は厳しい。篠原さんの漫画家への道も厳しいだろう。がんばってほしい。挫折を一回して、そのあとの立ち直りだからきっと強いのだと思う。それにあれだけ本当は可愛い美人なんだというベースがあってのメガネ女子をやっているのだから、もう大丈夫。
 
 あんまりネタバレになってないか。まあいいか。
 姉の結婚の注目度からみてこっちはどうなのかな。