読書 小山田浩子「穴」

『穴』に収録の「穴」である

 

『』は著作タイトルの場合には二重カギカッコにしろと

教わったもんで

だもんで

 

さて「穴」であるが

よみおわってみると印象がだいぶちがう

もうだいぶ前の作品なので内容にふれてもいいだろ

 

つまるところ

結婚して夫と二人で暮らしていたが

たいしたことない理由で夫の実家の横の家に住むこととなった

なんというかおそろしく街から離れた場所の

なんというかあとでわかることは因習めいた雰囲気さえもあるような

しかしコンビニもあるのである

そして川があり土手がありそこに穴がある

 

夫の実家には舅と姑と義理の祖父の3人がいる

と思っていたら

実は夫の兄がいたのである

夫の兄はもう長いことずっとひきこもりでいたから

あなたがわたしのことを知らないのも無理はないという

 

この小説はいろいろとそれは実際のことなの?それとも実際のことではないの?

というふうに書かれている

 

この「実在したという夫の兄」であるが

さいごのほうでその兄が住んでると自称していた納屋のような建物はいかにも古びて誰も長年そこの戸を開けなかったような描写がある

 

主人公が実家の並んでいる先祖とか死んだ義理祖母の写真とかみていると

そこにはいないはずの姑が話しかけてくる描写がある

 

義理祖父はいかにもこの人は認知症であるという描写があるがそれが認知症

である証拠にはならないー雨の日にも水まきをしている描写はその人がくるっているという描写になるだろうか?ならないだろうか?

 

つまりこの「夫の兄」を名乗る人物も

義理祖父も

どっちもリアリティレベルとして「ほんとうなのかどうかわかりにくい」人物なのである

 

お話は主人公が「なぞの獣」のあとを歩いてたら穴に落ちて外にでられにくかったこと(そこを夫の兄に助けてもらった)と

義理祖父が夜にふらふらと出歩いて穴にはいって頭だけ出してたあとに熱だして肺炎ですぐ死んだこと

の「穴のエピソード2つ」によって成り立っている

 

まあそのあとに義理祖父の葬式前に周囲の謎の老人どもが集まってくる描写がありこれがまたいやらしく気持ち悪さ全開で誰が本当の親戚で誰がただの近所の人なのかもわからないという描写になっている

 

あとはこの「田舎」の場所の攻撃的な自然(人間をよせつけそうもない)の描写がある

 

穴にしてもはいったらその本人だけの力ではでられないのである(夫の兄は「手をつっぱってお尻を上げて自分で出る」みたいなことを語っていたが語っているだけなので実際にその方法で一人で出たかどうかは疑わしいと思う)

主人公は夫の兄に助けてもらっているし義理祖父だって主人公が手を引いたから出られたのだ)

 

これだけ書いてもなんだかさっぱりその感覚をオレがどう感覚として

味わったらいいのか

よう

まだ

わからんのである

 

さいごに主人公はその唯一のコンビニで働くことを決めるのだが

 

 

それについては伏線があり

 

主人公は「非正規で働いていたが引っ越して夫の実家の横の家で住むことになったら仕事がみつからずしかもその家は実家の持ち物なので家賃を払わなくていいこともありそこで主人公はいままでの自分の非正規での働きの報酬がいかにも小さいものだったとあらためて嘆いたり卑小な気分を味わったりして働いていない”夏休み”の自分は無価値な人間だみたいなこともモノローグで語っていたから」

だから仕事自体は探していたものの行動はしていないでぼけーーーとしている

していた

みたいな描写でもあるのである

そもそも交通が不便とはいえ原付などを買えばやろうと思えば動けるはずと主人公もモノローグで言っている

にもかかわらずなにもしないでぼーーーっとしている様子である

自覚的なぼーーーっとしている感である

 

なんだかいろいろなものが詰まっていてちょっとオレは消化不良である

だからつまり決してよみやすい小説ではない

とオレは思ってしまったのだ

 

それは善し悪しとはあまり関係ないのだが

 

まあとにかくオレはいろいろ読むといいんだよ

いろいろあるって思うからさ