紅09話「貴方と私と」。真に恐ろしいのは多分次の10話だ。多分オレは次の10話にて画面の前で歯ぎしりしこぶしを握り締め、苛立ちを高めるだろう。予想。
さて09話。紫は接吻し、紫は兄の前でおびえ、紫は偽りの宣言をさせられる。がしかし本当に醜悪だ。ときに醜悪祭なる祭りがどこかしこで行われてるらしいが私は結局原作小説は1ページたりとも読んでいないのでそんな祭りとは何の関係もない。表紙をみて、ひっくりかえしてみて、これは自分の読むべきものでないなと思ったので買ってないーいや金がなかっただけだ。いやそんなのはどうでもよくて。
目の前にあるその光景が醜悪だった。兄というやつがやってきて紫に詰問するその光景だ。三重くらいに醜悪。ひとつはそのかたりくちが整然として紫の意思を尊重するかのように形式のみが正しいこと、ひとつはそんなこといいながら結局おまえが紫とヤりたいがためだけなんじゃないのかとオレが思ったこと、ひとつはこの兄ってやつの考えている「自らの無謬性」があまりにも矛盾に満ちてこの世ではとうてい受け入れられないにもかかわらず、蛙のツラにしょんべんがごときの平静さであること。
兄を前にして紫が尋常でないおびえかたをしていることが至極かんたんなその理由背景をあらわす。ああいうおびえ方は「抗えないー抗ったらどうなるか知っている」系の虐待(肉体的あるいは精神的あるいはその両方)を経験している人のそれである。と思う。きわめて醜悪。
そういうのがこの世にあるだけでけっこうたまらない。まああるんだが。
それを思うにつけ、その直前の紫の接吻の語りがよみがえって対比、紫の語ることは正当にひとりの人間として他のもう一人の人間の前に立って、正しく向き合ってる、まったく非のうちどころのないよい態度である。よい女。
それにつけても10話がこわい。あの次回予告をみるにつけ、しんくろう君が、自らを偽ってそのあとその分だけ深く嘆くことになるような気がする。次回予告に紫が一影さえも出てこないのは、紫の不在について、偽りと嘆きとがかなり大きいダメージをもって投げかけられるだろうことをあらわしているようにしかみえないのだ。
後ろには何もない のかなあ。だといいんだが。